地目(ちもく)とは、土地の主な用途を表すもので、
田、畑、宅地、山林、原野、公衆用道路、雑種地など、
全部で23種類の地目が、不動産登記規則第99条で定められています。
そのため、23種類以外の地目を勝手に作ることはできず、
一筆の土地に2種類以上の地目を認定することもできません。
ただ、地目には、不動産登記法上の地目と、
現況から判断する地目、固定資産評価基準による地目があります。
そこで、地目とは何かが全てわかるように、
地目変更の登記申請業務を行っている土地家屋調査士が、
地目とは何かについてくわしく解説いたします。
土地家屋調査士:寺岡 孝幸(てらおか たかゆき)
資格:土地家屋調査士(とちかおくちょうさし)、行政書士。
取扱い分野:地目変更登記など表示に関する登記全般。
経歴:開業以来21年間、地目変更など登記に関する業務を行っています。
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この記事を閲覧することで、地目とは何かがすべてわかります。
地目とは
地目とは、土地の主たる用途により分類した名称のことで、
次の3つに区分されます。
- 登記地目(不動産登記法上の地目)
- 現況地目(現地の状況から判断する地目)
- 課税地目(固定資産評価基準による地目)
それでは1つずつわかりやすく解説していきます。
登記地目:不動産登記法上の地目
登記地目とは、不動産登記規則第99条に基づいて、
法務局の不動産登記簿に記録された地目のことです。
不動産登記規則第99条では、次のように23種類の地目が定められています。
不動産登記規則第九十九条(地目)
地目は、土地の主な用途により、田、畑、宅地、学校用地、鉄道用地、塩田、鉱泉地、池沼、山林、牧場、原野、墓地、境内地、運河用地、水道用地、用悪水路、ため池、堤、井溝、保安林、公衆用道路、公園及び雑種地に区分して定めるものとする。
引用元:不動産登記規則 | e-Gov法令検索.「不動産登記規則第九十九条」. (参照 2023-6-10)
地目は、次の不動産登記準則第68条の各号によって、
土地の現況及び利用目的に重点を置き、
部分的にわずかな違いがあっても、
土地全体の状況を観察して定めるものとされています。
(不動産登記準則第68条)
- 田:農耕地で用水を利用して耕作する土地(1号)
- 畑:農耕地で用水を利用しないで耕作する土地(2号)
- 宅地:建物の敷地及びその維持若しくは効用を果たすために必要な土地(3号)
- 学校用地:校舎や附属施設の敷地、運動場(4号)
- 鉄道用地:鉄道の駅舎、附属施設及び路線の敷地(5号)
- 塩田:海水を引き入れて塩を採取する土地(6号)
- 鉱泉地:鉱泉(温泉を含む)の湧出口及びその維持に必要な土地(7号)
- 池沼:かんがい用水でない水の貯留池(8号)
- 山林:耕作の方法によらないで竹木の生育する土地(9号)
- 牧場:家畜を放牧する土地(10号)
- 原野:耕作の方法によらないで雑草、かん木類の生育する土地(11号)
- 墓地:人の遺体又は遺骨を埋葬する土地(12号)
- 境内地:境内に属する土地であって、宗教法人法第3条第2号及び第3号に掲げる土地(宗教法人の所有に属しないものを含む)(13号)
- 運河用地:運河法第12条第1項第1号又は第2号に掲げる土地(14号)
- 水道用地:専ら給水の目的で敷設する水道の水源地、貯水地、ろ水場、又は水道線路に要する土地(15号)
- 用悪水路:かんがい用または悪水はいせつ用の水路(16号)
- ため池:耕地かんがい用の用水貯留池(17号)
- 堤:防水のために築造された堤防(18号)
- 井溝:田畝又は村落の間にある通水路(19号)
- 保安林:森林法に基づき農林水産大臣が保安林として指定した土地(20号)
- 公衆用道路:一般の交通の用に供する道路(道路法による道路であるかどうかを問わない)(21号)
- 公園:公衆の遊楽のために供する土地(22号)
- 雑種地:以上のいずれにも該当しない土地(23号)
法務局の不動産登記簿では、土地の所在、地番、地目、地積、
所有者の住所・氏名などを、1筆の土地ごとに記録して、
どんな土地なのかがわかるようにしています。
たとえば、建物が建っている土地の地目は、
下図1のように、「宅地」という地目で記録されています。
不動産登記簿に記録されている登記上の地目(登記地目)は、
現地の状況(現況地目)と、本来一致しているものです。
しかし、現況が変化したにもかかわらず、
地目変更登記を行っていない場合もあり、
登記上の地目と現地の状況が異なっていることもあります。
たとえば、山林が造成されて現況は「宅地」になっているのに、
登記上の地目は「山林」のままになってる場合などです。
現況地目:現地の状況から判断する地目
現況地目というのは、登記簿上の地目ではなく、
現在の土地の利用状況から判断される地目のことです。
登記地目と現況地目は、通常、一致しています。
しかし、不動産登記簿に記録された当時の地目から、
現在の利用状況が変わっていることもあり、
登記地目と現況地目が違っていることもあるのです。
課税地目:固定資産評価基準による地目
固定資産評価基準による地目としては、
田、畑、宅地、鉱泉地、池沼、山林、牧場、
原野及び雑種地の9種類に区分されます。
(※財産評価基本通達7)
不動産登記規則第99条で定められている23種類の地目に比べて、
少なくはなりますが、固定資産評価をする際には、
全ての土地が、次の定め方によって9種類に分類されるのです。
- 宅地:建物の敷地及びその維持若しくは効用を果たすために必要な土地
- 田:農耕地で用水を利用して耕作する土地
- 畑:農耕地で用水を利用しないで耕作する土地
- 山林:耕作の方法によらないで竹木の生育する土地
- 原野:耕作の方法によらないで雑草、かん木類の生育する土地
- 牧場:家畜を放牧する土地
- 池沼:かんがい用水でない水の貯留池
- 鉱泉地:鉱泉(温泉を含む。)の湧出口及びその維持に必要な土地
- 雑種地:以上のいずれにも該当しない土地
たとえば、現地の状況が公衆用道路や公園、
鉄道用地、用悪水路、学校用地などの地目は、
固定資産評価基準においては、雑種地になります。
一筆の土地に2種類以上の地目は認められない。
一筆の土地に2種類以上の地目は、認められません。
ただ、現地の利用状況を細かく見ると、
一筆の土地で2種類以上の目的に利用されている土地もあります。
たとえば、下図2のような一筆の土地の中に、駐車場、
資材置場、畑という数種類の目的に利用されている土地です。
この一筆の土地の利用状況を細かく見れば、
駐車場と資材置き場は、地目は「雑種地」となり、
畑は、地目は「畑」となります。
しかし、土地の地目を判断する場合、
部分的に僅かな違いがあるときでも、
一筆の土地全体の状況を見て、地目を1種類のみ認定する必要があるのです。
上図2の例の場合、一筆の土地の中に畑が一部存在しますが、
土地の大部分が資材置き場となっているため、
一筆の土地全体としての地目は「雑種地」と認定されます。
地目に変更があった場合、地目の変更の登記が必要
もし、地目に変更があった場合、
土地の表題部所有者 または 所有権の登記名義人は、
地目の変更があった日から1ヶ月以内に、
地目の変更の登記を法務局に申請しなければなりません。
また、地目に変更があった後で、
表題部所有者又は所有権の登記名義人となった者は、
表題部所有者又は所有権の移転登記があった日から1ヶ月以内に、
地目の変更の登記を申請しなければなりません。
なぜなら、これらの申請義務については、
不動産登記法第37条第1項と第2項で定められているからです。
地目の変更の登記は、土地の利用目的が変更した際に、
登記されている地目を、現況の地目と一致させる登記です。
もし、土地が共有の場合には、共有者の1人から、
地目の変更の登記を申請することができます。
なお、地目の変更については、
「地目変更とは」でくわしく解説しています。