土地家屋調査士:寺岡 孝幸(てらおか たかゆき)
資格:土地家屋調査士(とちかおくちょうさし)、行政書士。
取扱い分野:地目変更登記など表示に関する登記全般。
経歴:開業以来21年間、地目変更など登記に関する業務を行っています。
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山の全体を切り崩して、住宅地にした場合や、
山の一部を平らに削って住宅地にした場合には、
登記の地目を山林から宅地に変更することになります。
ただ、地目が山林の土地の場合には、
最初に、保安林の指定がされているかどうかについて、
地域の林業事務所などで確認しておいた方が良いです。
登記の地目が保安林となっていれば、
保安林の指定がされていることがすぐにわかるのですが、
登記の地目が山林というだけでは、
保安林に指定されているかどうかまでは、調べてみないとわからないからです。
というのは、保安林に指定されていれば、
指定された段階で登記の地目を保安林に変更するのですが、
たまに、山林から保安林への地目変更をしていないこともありえるからです。
登記の地目が山林であっても、保安林に指定されている土地であれば、
地目変更するためには、先に保安林の解除をしなければなりませんので、
関係する土地の地目が山林の場合には、
一度は、保安林の指定がされていないことを確認した方が良いでしょう。
また、登記の地目が山林だからと言って、
一戸建てを建築できないということもありません。
登記簿の地目が山林のままでも、建築許可などの手続きを行えば、
住宅を建築することは可能です。
そして、保安林に指定されていない限り、
登記の地目が山林であっても、一戸建てを建ててから、
登記の地目を山林から宅地に変更する流れになります。
ただ、登記の地目が、田か畑の場合には、
土地の現況を変える前に、
農地法の手続きをしなければならないことには注意が必要です。
固定資産税などの税金の面で言えば、
登記の地目が宅地よりも、山林の方が圧倒的に安いです。
基本的に、税金の高い順に言えば、宅地>田や畑>山林となります。
また、登記の地目が山林の土地を、
宅地に変更する場合に注意が必要なのが、
山の全体を住宅地などにした時と、山の一部を住宅地にした時では、
登記申請の流れがまったく違う点です。
山の全体を住宅地などに変更した時には、
その土地の登記の地目を、そのまま山林から宅地などに変更する流れになります。
ただ、山の一部に住宅を建てる場合には、
まず、現状が山林の部分と、住宅地の部分に土地を分ける必要があります。
この土地を分ける登記のことを、土地分筆登記と呼んでいます。
つまり、住宅を建築する前は、1筆の土地であったものを、
住宅部分と山林部分とに、土地を2筆に分けて、
それぞれに土地の地番が付くことになります。
2筆に分けた後の地番につきましては、どちらか一方に元の地番が付き、
もう一方に新しい地番が付くことになります。
そして、地目については、どちらも山林のままになっていますので、
登記手続き的には、まず分筆登記申請を行って2筆に土地を分けてから、
住宅部分の方の土地の地目を、
山林から宅地への地目変更登記申請する流れになります。
ちなみに、このふたつの登記申請を一回で行う申請方法もあります。
その方法とは、土地一部地目変更・分筆登記申請と呼ばれているものです。
この方法であれば、1回の登記申請で同時に地目も変更できます。
ただ、分筆登記などの土地の測量が必要になる登記申請については、
自分で行うのはかなり無理があり、土地家屋調査士という専門家の方が、
スムーズに完了まで進めることができると思われます。