この記事の監修者

土地家屋調査士:寺岡 孝幸(てらおか たかゆき)
資格:土地家屋調査士(とちかおくちょうさし)、行政書士。
取扱い分野:地目変更登記など表示に関する登記全般。

経歴:開業以来21年間、地目変更など登記に関する業務を行っています。
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登記の地目が、田や畑などの農地を、
他人に売買する場合や、他人に賃貸する場合には、
農地法第5条の手続きが必要になります。

たとえば、固定資産税の納税通知書の現況地目が、
雑種地など、農地以外の地目であったとしても、
登記の地目が、田か畑であれば、農地扱いとなります。

逆に、登記の地目が、
雑種地や山林など農地以外の地目であったとしても、
固定資産税の納税通知書の現況地目が畑なら、農地扱いとなります。

つまり、農地扱いになるかどうかは、
登記の地目と、固定資産税の納税通知書の現況地目の両方を、
確認してから判断することになるのです。

そして、農地扱いとなっている土地を、
農地以外の目的に利用したい場合には、
農地法の手続きが必要になってきます。

その時に、ただ単に、農地以外の目的に変えたいだけなら、
農地法第4条の届出か、許可の手続きになるのですが、
他人への売買や、賃貸を同時に行う時には、
農地法第5条の届出か、許可の手続きが必要になります。

たとえば、田や畑などの農地を売買して、
買主が、建物を新築したいような場合には、
売主買主が共に申請人となり、農地法第5条の手続きが必要になります。

その農地が、市街化区域なら農地法第5条の届出をし、
市街化調整区域なら、農地法第5条の許可申請をします。

そして、農地法第5条の手続きが完了できれば、
農地の売買をすることができることになりますので、
そこではじめて、売主から買主への所有権移転登記を行います。

その所有権移転登記の申請時には、
農地法第5条の手続きが完了した書面を一緒に添付して、
申請する流れになります。

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逆に、農地法5条の手続きを申請しても、
何かの問題で、手続きを完了できなかった場合には、
農地の売買をすることができないということになります。

なお、農地法第5条の届出も、許可の申請も、
その農地が存在している地域の市町村の、
農業委員会が受付窓口となっています。

ただ、届出については、市町村の農業委員会で審査するのですが、
許可申請の場合は、市町村の農業委員会が窓口となり、
受付後に、県の農業委員会で書類審査を行う流れになっています。

そして、農地法第5条の許可申請の書類については、
県の農業委員会にも書類が回りますので、
提出書類としては、原本1部と、そのコピー1部が必要になります。

ただ、農地法第5条の許可の申請書については、
1つづりで3枚写しとなっていますので、
市町村の分と、県の分と、申請人に許可証として戻ってくる分になります。

そして、農地法第5条の申請書の添付書類については、
市町村の分としてコピー1部と、
県の分として原本1部を提出しなければならないというわけです。

なお、許可申請をしようとする場合には、
農業委員会での受付締切日にも注意しておく必要があります。

届出については、基本的に常時受け付けをしていて、
受付次第、順番に書類審査を行っていますが、
許可申請については、受付の締め切り日が設定されています。

受付を締め切り次第、順番に書類審査を行っていますので、
締切日以降に提出された申請書類については、
翌月の締切日までそのままの状態となります。

ですので、急いでいる場合には、
農地が存在している市町村の農業委員会で、
農地法第5条の許可申請の受付について確認しておくと良いでしょう。

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