土地家屋調査士:寺岡 孝幸(てらおか たかゆき)
資格:土地家屋調査士(とちかおくちょうさし)、行政書士。
取扱い分野:地目変更登記など表示に関する登記全般。
経歴:開業以来21年間、地目変更など登記に関する業務を行っています。
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登記上の土地の地目(種類)というのは、
1つの土地の一部の状況だけを見て判断するものではありません。
その土地の全体を見て、地目が何になるのかを総合的に判断します。
そして、登記される土地の地目は、1つですので、
1つの土地に対して、いくつもの地目を登記するこはできません。
たとえば、よくあるのが建物の敷地の一部に、
車の通れるくらいの通路がある場合です。
公道として車が走れる土地は、
登記の地目は公衆用道路でなければなりません。
全国の至る所にある国道や県道、市道になっている土地は、
そのほとんどの土地の地目は公衆用道路となっています。
ただ、見た目がアスファルトで舗装されて、
側溝なども整備されていたとしても、
登記の地目を公衆用道路に変更する手続きが、
未だ済んでいないといった土地もあります。
また、自分の家に入るための通路(私道)については、
公道として利用される道路ではないので、
その通路部分も敷地の一部とみなし、
建物が建っている土地も、通路部分の土地も、
全体として登記の地目は宅地と認定されることが多いでしょう。
つまり、見た目が道になっているからと言って、
土地の登記の地目はかならず公衆用道路になるというわけではないということです。
また、1筆の土地に対して2つの地目を登記することもできません。
つまり、○○市□□町1番の土地の地目は、
宅地・公衆用道路というような登記はできないということになります。
ただ、1筆の土地が建物の敷地としても利用されていて、
その土地の一部が側溝やアスファルト道路などで、
はっきりと区別されていて、
公衆のための道路になっているような1つの土地の場合には、
まったく違う目的が2つあることになります。
この場合には、土地全体と、主な目的の違う一部の範囲を測量して、
土地を2つに分ける登記をします。
これは土地の分筆登記と呼ばれている登記手続きです。
ただ、この分筆登記申請には、かならず1筆全体と、
2つに分ける範囲の測量図を作成して提出しなければなりません。
上記の例で言えば、建物の敷地の部分(宅地の部分)と、
公衆用道路の部分を測量機器で測って、作製した測量図が必要になります。
1筆の土地を2つの土地に分ける分筆登記申請を行い、
それぞれに地番が付けられてから、
一方の土地の地目変更を行う流れになります。
たとえば、○○市□□町1番の土地について、分筆登記を行い、
○○市□□町1番の土地と、○○市□□町△番の土地の2つになってから、
公道になっている△番の土地の地目を、公衆用道路に変更する流れになります。
分筆の登記だけでは、○○市□□町1番の土地の地目はそのままなので、
元の登記の地目が宅地であれば、
分筆された後も、1番の土地も、△番の土地も地目は宅地のままだからです。
ちなみに、分筆後の△番の土地の地番につきましては、
分筆登記申請をする時に、管轄法務局で明確な地番が決定されます。